就業規則の不利益変更は可能

達磨寺(群馬県)
達磨寺(群馬県)

会社の経営環境は時とともに変化していて、一旦定められた就業規則の内容も、しばしば変更が求められることがあります。

契約締結時に約束された労働条件が、その後の変更によって低下する場合を「不利益変更」といいます。もちろん、労働者1人ひとりの同意があれば不利益変更も可能です。

しかし、実際の会社では、個々の労働者の同意を得ることは困難です。そこで、会社が一方的に労働者に不利益な就業規則の変更ができるのかという問題が生じます。

原則として、使用者が労働者の合意なく不利益変更をすることはできないとされていますが、次のような事項について合理的な場合は、新たな就業規則により労働条件が変更されることが認められています(労働契約法第9条、10条)。

 

【就業規則の不利益変更の可否の判断ポイント】

  ① 労働者の受ける不利益の程度

  ② 労働条件変更の必要性

  ③ 変更後の就業規則の内容の相当性

  ④ 労働組合などとの交渉の状況

  ⑤ その他の就業規則の変更の事情

 

 最高裁判決でも、その不利益変更が「合理的なもの」である限り「個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない」と示して、個々の労働者の同意がなくても不利益変更が認められるとしています《秋北バス事件:最高裁判決》。